バーチャファイターeスポーツ1周年に寄せて

サブキャラ問題が定期的に小さな炎上を起こしていますね。

どういった事象なのかは、今更ですので敢えて説明しません。ここでは、サブキャラ問題その物ではなく、問題をめぐる言論空間に感じた違和感を記録しておこうと思います。


現状に不満を持つ人たち

上級者であれば、後述の理由からサブキャラを問題視するプレイヤーは少ないと思います。

つまり、不満を感じているのは初級者が中心だと考えています。

声を上げているのが本当の初心者・初級者だとしたら、これは大問題ではないでしょうか。

SNS上で不満が噴出しているのを見たとき、上級者は言うでしょう。「サブキャラの何が問題なのか分からない」と。彼らの言い分としては、

・上級者のサブキャラなんて、どうせすぐ昇格していく
・上級者にとってもサブなんだから、そんなに強いはずがない
・大して強くないんだから、そのキャラの勉強をするチャンスでは


ここら辺が多いでしょうか。どれも、一見ごもっともな意見です。しかし、致命的な問題点があるように思います。それは、

すべて「上級者の視点で捉えている」事です。


自分も初心者だった事を忘れていないか?

サブキャラたちは、どうせすぐ昇格していく。確かにそうでしょう。しかし、数が多すぎるのです。メインの段位上げが終わった神々、あるいはメインで頭打ちとなって、初心者狩りでしか勝てなくなったベテラン……次から次へと自分と同じ段位帯にいながら圧倒的に実力が上の相手と戦わされる。こんな状況が続いたら、初心者の心が折れるのも当然でしょう。


サブだから強くない。確かにそうでしょう。ただしそれは、上級者の目線だから言えることです。初心者にとっては、コンボを落とす、確反に使う技のチョイスが怪しいサブキャラでも十分な脅威です。


誰だって最初は初心者でした。その頃の気持ちを忘れていませんか?同じくらいの実力をもったプレイヤーと勝ったり負けたり。格闘ゲームは、そんな時期が一番楽しいと思います。圧倒的に実力が上の相手に対して、「キャラ対を学ぼう」なんて考える余裕はありません。


若手と作品そのものを潰す老害たち

名の通ったプレイヤーがSNS上でサブキャラ問題なし論を張る。そこにコバンザメが群がって、そうだそうだと囃し立てる。こうなってしまうと、不満を持った初心者の居場所は無くなります。そして彼らは静かに作品から去っていきます。

私は、古参たちが口では「バーチャを盛り上げたい」と言いながら、実は現状維持(もしくは緩やかな滅亡)を望んでいるのでは?と感じることがあります。


かつて、バーチャの鉄人たちを題材にしたルポルタージュ小説がありました。作中、ある有名プレイヤーの人生を描く場面で、こんなシーンがありました。彼は、戯れに乱入してきた彼女連れのヤンキーに対して、「俺たちの遊び場ではしゃぐなバカ」といった旨の胸中を吐露していました。

この言葉が、今の古参バーチャファイター達の心境を象徴しているように思えるのです。
(ただし、真剣に腕を磨いている自分たちの神聖な場所を汚されたくない、という思いではなく、歪んだ選民思想に昇華されてしまいましたが)

アイドルやバンドなどの、いわゆる「古参vsにわか」の構図と同じ空気を感じます。古参が時として害悪となり得るのは説明するまでもないでしょう。

彼ら古参は、小さなムラ社会のまま細く長く続いてほしいという願望があるのではないか?と思えてしまうのです。だだし、(曲がりなりにも)GAASへと舵を切った本作が、スラム街を維持するために金を掛けるとは思えませんが。

作品を盛り上げたいならば、新規の参入が増えることが絶対条件なのは間違いありません。
今の世の中、若者たちの目の前には格ゲーに手を出さなくても、面白いゲームに溢れています。FPSでも任〇堂のパーティゲームでもなく、敢えて茨の道を選んだ若者たちを蔑ろにするシーンに未来はありません。

 

バーチャを愛してやまない古参プレイヤー達が、自ら作品の息の根を止める事にならないよう祈るばかりです。